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特急券
立派な前期高齢者である従妹と私は相変わらず一歳違いで、これからも変わらない筈である。幸いなことに、私が上だ。 従妹はどう思ってるか知らないが、私はとても気が合う。話が上手なのだが、なんでも、きっぱり言う。ゼッタイが口癖で時に、思い違いでも信じてしまうと、「ゼッタイそうや」などと言う。更には、間違いも平気で犯すことも判明した。
それは、奈良から京都へ向かうのに近鉄を利用するが、特急を使うと、35分で行ける。ただし、乗車するにはトーゼン特急券が必要となる。4両編成の1号車が喫煙車、他は禁煙車である。
「コウジ、たった35分だから、タバコは我慢しなさい」と同行する従弟のコウジ君に云う。コウジ君もお姉さんの言うことだから
「ええで」と答えていた。だから、安心して見ていると、発券機に向かい「ハジメちゃん(オカマバーのときの・・・くどいか)禁煙席でいいか?」と念を押して聞くから「ハイ」と礼儀正しく答えると、きっちり、「喫煙席」のボタンを押して、2枚手渡される。
買って頂いて、すごく有難くてもったいないのだが、こうもきっぱりと、勘違いされると、何も言うことはない。
そう言った訳で、「喫煙車」の指定座席に乗る。コウジ君は35分の間隣の席で、実に美味しそうに2本のタバコを吸った。
好もしい従妹なんだが、心の著しく狭い私は心にごく小さな傷を負うのである。
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