2008年6月30日

テントウムシ・Ⅱ

大きく育ちきった「テントウムシ」は、食べ過ぎによるのが原因で、所謂、「メタボリック・テントウムシ」に変化したのである。「メタボテントウ」は浮力と重力のバランスが崩れ、熊蜂と違い、飛ぶこともできなくなる。(熊蜂は物理学的には飛べないとされている)

そう言った訳で、「メタボテントウ」は地道な行動を取らねばならず、茎を登り捕食することになるのだが、餌のアブラムシやハダニたちもなんの抵抗もなしに食されてしまうのは無念なのだろう、上へ、上へ、あるいは先端へと逃げる。先端はいやがうえにも、細い枝葉になり、巨大化した「テントウムシ」は、しなりきった枝葉からボトリと落下する。

背中を下にして落下したものは、亀のように体勢を戻すことが出来ないから、手足をばたつかせるが、日ごろの運動不足がたたり、その為、過労死してしまう。逆に、落ちると手足を複雑骨折して動けなくなり、命を失うことになる。

だから、自然と10cm以下のものに淘汰されていく。また、彼等の中で特に飛翔力が優れた「テントウムシ」は、「超飛びテントウ」と呼ばれ、仲間内ではエリートと言われることになる。そうなれば、それなりにプレッシャーを受け、維持のために飛翔練習を増やす。

そして、更に優れていることを周囲に示す必要が生じる。こうした「エリートテントウ」の発生はまさに、人間社会の縮図のようである。人間は、こういった競争の敗者が、秋葉原などに出かけ、騒ぎを起こし、自らの命を、仲間の犠牲に置き換えたりする。「テントウムシ」は、もともと純粋だから、他の死に頼ることなく、象に墓場がある様に、「テントウムシ」の墓場に出かけて行く、このとき、子供が付き添うと言い伝えられているが、今村正平監督がメガホンをとった「楢山節考」とあまりにも極似していると言うことで、“そりゃーア、違うだろ”との意見もあるがどうだろう。

こうして、大きすぎる「メタボテントウ」は、滅び、一応、農水省もほっと胸をなでおろしたのである。しかし、「テントウの墓場」はだれにも発見されていない。



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